前作「秘密」で、温かくて切ない物語を紡いだ東野圭吾が、今回は読む者の心を冷え冷えと切なくさせる。 1973年に起こった質屋殺しがプロローグ。最後に被害者と会った女がガス中毒死して、事件は迷宮入りする。物語の主人公は、質屋の息子と女の娘だ。当時小学生だった二人が成長し、社会で“活躍”するようになるまでを、世相とともに描ききる。2人の人生は順風満帆ではなく、次々忌まわしい事件が降りかかる……。当然ミステリーだから謎が隠されているわけだが、真相は途中で暗示されてしまう。しかし謎の存在などどうでもよくなるほどのスケールの大きさが読後に残る。(石飛徳樹)
--このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
出版社/著者からの内容紹介
19年前の大阪の質屋殺し。迷宮入りしたこの事件に関係した少年と少女が歩んだ道は…。絶望の白い光の中、魂の荒野を行く男と女を、叙事詩的スケールで描く傑作ミステリー長篇。
東野 圭吾(ひがしの けいご、1958年2月4日 - )は、大阪府大阪市生野区生まれ(本籍は東区玉造・現中央区)の日本の小説家。
* 1983年『人形たちの家』第29回江戸川乱歩賞二次予選通過
* 1984年『魔球』第30回江戸川乱歩賞最終候補
* 1985年『放課後』第31回江戸川乱歩賞受賞
* 1988年『学生街の殺人』第9回吉川英治文学新人賞候補・第41回日本推理作家協会賞(長編部門)候補
* 1990年『鳥人計画』第11回吉川英治文学新人賞候補
* 1991年「天使の耳」第44回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)候補
* 1992年「鏡の中で」第45回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)候補
* 1993年『ある閉ざされた雪の山荘で』第46回日本推理作家協会賞(長編部門)候補
* 1993年『交通警察の夜』第46回日本推...