少女雑誌に掲載された『花物語』が圧倒的な支持を得、数々の名作で大正・昭和の女学生の心を掴んで離さなかった作家、吉屋信子。吉屋信子の少女小説は、ひとりひとりの人間が自分らしく生きることの大切さを描いた色褪せない作品群であり、老若男女問わず、今も多くの読者に愛され続けています。
吉屋信子が遺した珠玉の少女小説を選んだ「吉屋信子少女小説集」を全5巻の予定で出版いたします。『1巻 からたちの花』は、容貌のすぐれず、愛情に飢え、家族や学校といった周囲と不調和をきたした女の子・麻子が、<私>のあるべき姿を見つけ、大人への一歩を踏み出していくさまを描いた成長物語です。美しい妹への嫉妬、友人より優位に立ちたいという競争心、でしゃばりな振る舞い―麻子はそういったものからどうやって解き放たれ、他人も自分も愛することができる女性になっていくのでしょうか。麻子の多感な心と魂の遍歴を描いた、必読の感動作です。
『少女の友』の編集長であり、吉屋信子の創作活動を支えた内山基によるエッセイ「からたちの花の思い出」と、川崎賢子(文芸・演劇評論家)による解説を収録。
松本かつぢの愛らしく美しい装画でお届けします。
吉屋信子
1896年、新潟市生まれ。栃木高等女学校に在学中から少女雑誌に投稿。1916年から『少女画報』に連載された「花物語」が女学生の圧倒的な支持を得、ベストセラーになる。1919年、長篇小説「地の果まで」が大阪朝日新聞の懸賞で一等に当選。1936年から新聞連載された「良人の貞操」が好評を博す。少女小説、純文学、歴史小説、随筆と幅広く執筆活動をおこなう。1952年「鬼火」で女流文学賞、1967年に菊池寛賞を受賞。『わすれなぐさ』『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』など著書多数。1973年、逝去。